神経を圧迫したら痛み・しびれが出る?!
皆さんも一度は聞いたことがあると思います。
骨が変形して神経を圧迫して痛みが出ている。
椎間板ヘルニアが神経に触って脚にしびれが出ている。
今日からこの話は信じないでください。
信じたところで何も一切メリットもありませんし、事実ではありませんから。
最近患者さんとお話をしている中で、出てきた質問が、実は大事なことだという事に気付いたのでブログにします。
皆さんが「神経」と一言でいう時に大きく分けて2種類の意味で使っているのです。
一つは痛みや触覚・味覚など何かを感じる為のセンサーの働きをするものを指す神経。
もう一つは脳から背骨を通って各部位につながる線状の神経。
この二つがごっちゃになっている為、神経圧迫の話がウソであることを見抜けなくなるのです。
歯医者さんなどで歯の神経を抜くとか言いますが、この場合の神経はセンサーの働きをするもののことです。
知覚過敏になって、冷たいものがしみたり、固いものを噛むと痛みを感じたり。
感じる部分を取ってしまえば、何も感じなくなるし、感じる部分を刺激すれば痛みを感じたりします。
痛みを感じるセンサー部分を圧迫すれば痛みも感じるでしょう。
しかし、よく言われる神経を圧迫して痛みが~の話は背骨の界隈の話です。
この場合の神経は、脳と各部位をつないで、脳の指令を各部位に伝えるor各部位の感覚を脳に伝える為の線です。
いわば電線や家電の配線みたいなものです。
途中の線を挟んだからと言って、中を通って伝わるデータが変わったりしません。
電話のコンセントから来ている配線を挟んだからと言って、掛かってもいない電話が鳴ったりしません。
配線を挟んで問題があるとすれば、断線です。つまり、電気が届かなくなる、反応しなくなるのです。
痛みを感じるならば線はきちんとつながっている証拠です。しびれも然り。
問題があるとしたら、麻痺です。マヒはしびれとは違います。
しびれ・痛みは感じるもの。麻痺は感じない・動かないのです。
脱力感というのも感じているものです。
背骨界隈で神経に何か問題を起こしたら、麻痺が起きます。
麻痺でなければ神経は大丈夫という事なんです。
病院でも神経が圧迫されているという割にはほとんどの場合手術する必要が無く、
しばらく普通に生活していたら治っていたりするんです。
圧迫具合が変わるのでしょうか?神頼みしかないのでしょうか?
背骨の異常が神経を触って痛みが出ているという事を信じても何も解決しないんです。
ただ恐怖心でより一層動かせなくなり、緊張を強めて痛みを増すだけなんです。
「年のせいで変形した背骨が神経圧迫している説」を信じたら、今後良くなることは望めなくなるのです。
信じても何も得はありません。
しかし、実際そのうち痛みも収まってるでしょうから、「年のせい」なんて、そんなことないのです。
びりっとくる痛み。これも線の神経の話ではなくセンサーの働きをする筋肉などの異常です。
筋肉を正常な状態に出来るように気を付けていけばいいだけなんです。
とにかく背骨の異常を原因と思わなくていいんです。安心してください。
もちろん事故やけがの場合は問題有りです。
他にも骨腫瘍など重篤な病変が疑われる場合も、きちんと病院で診断を受ける必要があります。
逆を言えばそれらの可能性が無いようならば、レントゲンやMRIも撮る必要が無いと言われているのです。