それでもぼくはやっていない
今からおよそ13年前
松山からカイロプラクティックの学校に通うため僕は東京に引っ越してきた。
駅から徒歩20分ほどのマンションの最上階角部屋だった。
あれは引っ越してしばらく経ち、都会の生活にも慣れたころだった。
ある日買い物から帰った僕は、6階にある自分の部屋に戻るため、エレベーターに乗った。
異変に気付いたのはすぐだった。
「くさい」
とにかく臭かった。
僕はおならをしないから分からないけど、きっとこういう臭いがする気体のことを言うのだと思う。
それでも6階まで荷物をもって階段を上るのは辛かった。
「いいや、ほんのしばらく辛抱すれば着くんだし。」
心の中でそうつぶやいて、呼吸を止めた。
酸素を求めて苦しくなった頃、エレベーターは止まってくれた。
無事6階についたのだ。
そして、人影が見えた。
僕は降りた。
彼女は乗ってきた。
・・・。
きっとまだあの密室は残り香が消えていない。
「あれっ?もしかして僕のせいになるんじゃない?」
そう気付いた僕は、一瞬声をかけようか迷った。
「そのエレベータ臭いですよね、僕も乗った時臭かったんです。
いや~エレベータの中で放屁するのは罪ですよね。
見つけたらぶん殴っときます。」
とでも言いたかった。
でも言えなかった。
きっと言い訳にしか聞こえない。
僕は軽く会釈をして、彼女は静かに乗り込んだ。
何も言われないから、それでいい。
そう言ってしまえばそれまでだ。
もしかしたら、彼女は鼻が詰まってて何も気づいていないかもしれない。
でも僕の中では、
「不快な思いをして、さらには濡れ衣まで着せられた」
僕は被害者だ。
彼女がどう思ったかなんて分からない。
でも、、、
それでもぼくはやっていない
濡れ衣を着せられるのはまっぴらだ
手首の小指側の靭帯や軟骨、尺骨突き上げ症候群の尺骨もこんな気持ちなのかもしれない。
手首の痛みに限らず、痛みにまつわる冤罪事件は枚挙にいとまがない。
冤罪じゃないものもあるかもしれない。
けど冤罪も沢山ある。
だから私は訴えていきたい。
これが私がTFCC損傷の専門を目指したきっかけです。
※嘘です。
でも起こった現象はノンフィクションです